INTERVIEW 01 かん袋




1329年創業、堺が誇る
元祖『くるみ餅』の店

くるみ餅発祥のこの店で扱うのは、『くるみ餅』と『氷くるみ餅』のみという潔さ。写真の持ち帰り用2,030円(3人前)はレトロな壺入り。生菓子なのでお早めに。壺入りは他に5人前3,050円もある。


うぐいす色の餡と純白のお餅の
コラボは、“口福の甘味”
堺の銘菓の代表格、『くるみ餅』。といっても、胡桃(くるみ)が使われているわけではなく、お餅を餡で“くるんで食べる”ところからそう名付けられたのだそうです。その『くるみ餅』の元祖として名高いのが、このお店です。素材や製法は門外不出。歴代の店主のみに語り継がれるという秘伝のレシピは、27代店主の今泉さんと、次代を担う息子さんが守り継いでいます。
なめらかでやさしい甘さのうぐいす色の餡を、もっちりやわらかな純白のお餅をからめながらいただくと、なんともいえない幸福感に包まれます。暑い日は、かき氷をかけた『氷くるみ餅』もおすすめ。
口当たりのよい氷と混ざり合い、餡の甘さがよりまろやかになって、さっぱりした味わいに。一年中注文できるから、冬でも厚着のまま食べる人も多いそう。


この店の創業は鎌倉時代末期の元徳元(1329)年。初代店主の和泉屋徳兵衛が『和泉屋』という商号で御餅司を開いたのがはじまりです。その後、堺が南蛮貿易の港町として栄えた室町時代、5代目和泉屋忠兵衛が塩味で挽き合わした茶菓子をつくり、餅をくるんで食べる『くるみ餅』が誕生。やがて砂糖が流通して甘味が加わり、千利休が生まれ育ったこの堺で茶菓子として愛されてきました。
現在も開店と同時に、日々の日課のように訪れる地元の方々から、ガイドブック片手の観光客まで、客足が途切れることはありません。千客万来のにぎわいで愛される堺きっての老舗は、2029年に創業700年を迎えます。










持ち帰り用のサンプルが並ぶレジ下のショーケース。シール容器入り2人前1,020円~、小鉢2人前入り1,320円もある。


『かん袋』の名付け親は豊臣秀吉。大阪城築城の際、瓦を紙袋(かん袋)のように軽々と扱う当時の店主を称え、「かん袋と名付けよ」と命じたのだとか。





Shop:01
かん袋

営業時間/ 10:00 ~ 17:00
※店内飲食受付は~16:45
定休日/火・水曜 ※祝日の場合は営業
電話/072-233-1218
堺市堺区新在家町東1-2-1
https://kanbukuro.co.jp/index.html
古墳など歴史文化遺産が多いのは堺の魅力のひとつですね。のんびり走るチンチン電車(阪堺電車)はどの駅で降りても見どころがいっぱいです。当店の最寄駅「宿院」近くには千利休屋敷跡もありますし、2駅先の「花田口」から北のあたりは風情のある街並みが残っていて、刃物屋さんをのぞいたり、寺社を参拝したり、散策にぴったりですよ。